【三木の彫刻美】大宮八幡神社の「鯉の滝登り」|江戸職人の遊び心と卓越した技

三木市民に親しまれている「大宮さん」こと、大宮八幡神社。 その本殿を支える「脇障子(わきしょうじ)」に、驚くほどダイナミックな彫刻が施されているのをご存知でしょうか。

今回は、江戸時代末期の職人技術が光る逸品、「鯉の滝登り」の彫刻をご紹介します。


1. 本殿を彩る「鯉の滝登り」の彫刻

大宮八幡神社の本殿脇障子には、勢いよく流れる滝を背景に、力強く跳ね上がる鯉の姿が彫られています。

この作品は江戸時代末期に制作された比較的新しいものですが、その精巧さは目を見張るものがあります。水しぶきや鯉の鱗(うろこ)ひとつひとつに、当時の職人のこだわりが凝縮されています。


2. 三木と滋賀、二つの神社の意外な「鯉」比較

面白いことに、この大宮八幡神社の彫刻は、滋賀県伊吹山麓にある伊夫岐(いぶき)神社の本殿彫刻と同じ「雛形(デザイン)」をもとにしていると考えられています。

しかし、よく見比べると表現には微妙な違いがあります。

  • 伊夫岐神社:滝を半分登った鯉と、これから登る予定(?)の鯉の2匹が描かれています。
  • 大宮八幡神社:デザインは似ているものの、登っている鯉の表現がどこか「なめくじ」のようにも見え、巧いとは言いきれない、どこか愛嬌のある表情をしているのが特徴です。

3. 金物から彫刻へ。三木が誇る「道具」の力

こうした複雑な透かし彫りや力強い立体表現を可能にしたのは、ほかでもなく三木が誇る「鑿(のみ)」や「彫刻刀」の存在です。

三木金物の歴史の中で磨き上げられた鋭い道具が、名もなき職人の手によって、神社という聖なる場所を彩る芸術作品へと姿を変えていきました。大宮八幡神社の彫刻は、いわば「道具の町・三木」の技術力を証明するショールームともいえるのです。


4. 祭りの賑わいとともに眺める、江戸の粋

毎年10月、豪華絢爛な屋台が集まる「播州三木秋まつり」で有名な大宮八幡神社ですが、静かな日に本殿を訪れ、こうした細部の彫刻をじっくり眺めるのもまた一興です。

江戸末期の人々が何を美しいと感じ、どのような願いを込めてこの鯉を彫らせたのか。そんな歴史のロマンに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。


結び

大宮八幡神社の「鯉の滝登り」は、立身出世や成功の象徴でもあります。 何気なく通り過ぎてしまう場所にも、三木の職人魂と江戸の遊び心が息づいています。次に参拝される際は、ぜひ本殿の脇にあるこの「鯉」を探してみてください。


参考資料: 三木市大宮八幡神社本殿脇障子・兵庫県

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