兵庫県三木市、志染川に架かる美しい石造りのアーチ橋。一見すると風情ある眼鏡橋ですが、実はこれ、**「日本最初のサイフォン橋」**という非常に重要な歴史的建造物なのです。

今回は、130年以上経った今も現役で活躍し続ける「御坂のサイフォン」の凄さに迫ります。
1. 「御坂のサイフォン」とは?
御坂のサイフォン(正式名称:御坂サイフォン橋)は、明治24年(1891年)に完成しました。
設計を手がけたのは、横浜港の設計などでも知られるイギリス人技師、ヘンリー・スペンサー・パーマー氏です。異国情緒あふれるその姿は、当時の最先端技術と美意識が融合した、三木市を代表する風景の一つとなっています。

2. 「サイフォン」の仕組みと驚きの技術
なぜ、わざわざ橋の上に水を流す必要があったのでしょうか?
それは、遠く離れた淡河(おうご)や山田の川から、水不足に悩む「印南野(いなみの)台地」へ水を届けるためでした。途中で深い谷(志染川)を越えなければならず、そこで採用されたのが「逆サイフォンの原理」です。
- 仕組み:高い場所から一度低い場所へ水を落とし、その水圧を利用して再び高い場所へ押し上げる仕組みです。
- 耐久性:1世紀近くを経た現在でも立派に役目を果たしており、その設計の確かさが証明されています。
3. 三木を支える「命の水」のネットワーク
この橋は、単独で存在するのではなく、広大な「淡河川・山田川疎水」という水利ネットワークの一部です。
以前ご紹介した「呑吐(どんど)ダム」を含む東播用水事業も、こうした明治時代からの先人たちの努力の延長線上にあります。三木市の農業や生活は、時代を超えたエンジニアたちの情熱によって支えられているのです。
4. 訪れる際の見どころ
御坂のサイフォンを訪れたら、ぜひチェックしてほしいポイントがあります。
- 4連の美しいアーチ:石造りの重厚感と、周囲の自然が調和する景観。
- 130年の風格:明治から続く石積みや、水の流れる音に耳を澄ませてみてください。

最後に
「1世紀近くを経た今日でも立派に役目を果たしている」。資料にあるこの言葉通り、御坂のサイフォンは単なる遺跡ではなく、今も私たちの暮らしを支え続ける「現役のインフラ」です。
歴史・技術・景観の三拍子が揃ったこの場所。三木市の歴史散歩のルートに、ぜひ加えてみてください。
