2023年3月10日。
三木の象徴「金物鷲」が、ついに常設というかたちで羽ばたいた。

設置場所は、兵庫県三木市福井の
道の駅みき。
しかし、この物語は“完成”から語るものではない。
問いはここから始まる。
なぜ、常設になったのか。
2日間だけの“幻の鷲”
金物鷲が初めて登場したのは約70年前。
毎年秋に開催される
三木金物まつり で披露され、
1970年には
日本万国博覧会(大阪万博)にも出展された。
三木の金物産業を象徴する存在。
だが、その姿を見られるのは年に一度、わずか2日間。
重量の問題から長期展示は難しく、“幻の鷲”と呼ばれてきた。
誇りでありながら、
日常には存在しない象徴だった。
「三木に来てもらうきっかけにしたい」
転機となったのは、
三木の産業PRとまちの活性化をどう進めるかという議論だった。
金物メーカーと卸業者で構成される
三木金物商工協同組合連合会 が立ち上がる。
「金物鷲を常設できないか」
構想は5年半前に始まった。
単なる再展示ではない。
長期設置に耐える構造を一から作る必要があった。
骨組みからの再設計
制作が本格始動。
のこぎりや刃物など約6,000点を使用し、
高さ2.4メートル、横幅4.5メートルというスケールに挑んだ。
仮設ではなく“常設”。
それはつまり、
・耐久性
・安全性
・構造計算
・展示環境との調和
すべてを再設計するということ。
動画や写真に残された制作過程には、
一つひとつ金物を配置していく職人の手、
完成を見上げる関係者のまなざしが写っている。
それは「展示物」ではなく、
三木のものづくり精神そのものだった。

三木金物鷲常設展示プロジェクトチーム
結実の日 ― 2023年3月10日
お披露目式で語られた言葉が印象的だった。
「金物鷲は2日間しか見られず幻と呼ばれていた。
常設が三木に来てもらうきっかけになれば」
その願いは、いま
道の駅みき の空の下で形になっている。
金物鷲は“完成”ではない
この常設化は、終着点ではない。
70年の歴史を受け継ぎ、
5年半の構想を経て生まれた新たな翼。
それは、
三木の金物が
日本へ
世界へ
飛び立っていくための象徴。
そして、訪れた人が
「三木ってすごいな」と感じるきっかけ。
完成した姿の奥にある時間と情熱こそが、
金物鷲の本当の価値なのかもしれない。
▼アクセス情報
所在地:兵庫県三木市福井2426
施設:道の駅みき
※訪問の際は最新の営業情報をご確認ください。
みきぺだる的に思うこと ― 観光は「物語」によって動く
観光は、モノだけでは生まれない。
大きい。すごい。迫力がある。
それだけでは、人はわざわざ足を運ばない。
でも――
「なぜそれが生まれたのか」
「誰が、どんな思いで作ったのか」
「どれだけの時間がかかったのか」
その背景を知ったとき、
風景はただの風景ではなくなる。
金物鷲は、
6,000点の刃物でできた巨大なオブジェである前に、
70年の歴史と、
構想5年半の挑戦、
そして三木のものづくりの誇りが重なった“文化”だと思う。
常設になったことで、
祭りの2日間だけの熱狂ではなく、
日常の中で静かに出会える象徴になった。
それは観光資源であり、
同時に、三木というまちのアイデンティティ。
みきぺだるは、
完成した姿だけでなく、
その裏側にある物語を残していきたい。
金物鷲が空へ向かって翼を広げるように、
三木の文化も、もっと遠くへ届くはずだから。
